世界遺産・富士山
富士山は、国内においては富士講や富士山信仰の対象でもあり、その美しい姿から、世界的にも知られる山でした。
そして、2013年、世界遺産に登録されてから、人気に拍車がかかった感があり、近年では外国人の登山客、観光客がよくみかけるようになりました。
世界遺産…それも自然遺産としてではなく、信仰に根付いた文化遺産として登録されたというのがミソです。
当初、富士山は「世界自然遺産」として登録が目指されたのですが、ゴミの不法投棄などによる環境悪化や開発により本来の自然が保たれていないなどといった評価もあり、途中から「文化遺産」登録が目指されました。
富士山は、世界遺産として周辺地域も含めて25ヶ所が登録されていますが、メインはなんといっても富士山域です。富士五湖や忍野八海ももちろん、山頂の信仰遺跡や登山道までも、世界遺産に登録されているのです。
忍野八海とは 忍野八海とは、山梨県南都留郡忍野村にある湧き水で生じた8つの泉のことです。 富士山の雪解け水が地面の中を通り抜け、長期間かけてろ過された湧き水ということで、国の天然記念物・名水百選にも指定されています。 「八海」とい[…]
文化遺産の観点から、富士山の世界遺産には、富士浅間神社はじめ各地の浅間神社もあわせて登録されています。さらに、白糸の滝や三保松原も含めてのことということは、覚えておきたいポイントです。
富士山の登山
富士山には、吉田ルートや須走ルートなど都合4つの登山道が設けられています。登山シーズンは毎年、吉田ルートが7月1日〜9月10日、須走・御殿場・富士宮ルートは7月10日〜9月10日となっています。
富士山は五合目までは車で登れるので、五合目付近を登山口とみなす人が多いようです。いかんせん高地であることから、平地との気温差が20度以上になることがあるので、夏であっても真冬並みのしっかりした装備が必要です。
富士山登山にあたっては、トイレの数が極端に少ないので、山小屋などできる場所で済ませるのが賢明です。山小屋は事前予約が原則となっていて、カード払いが不可となっている点も注意が必要です。
近年は流動的な富士山の山開き日
富士山の山開きは従来、7月1日と決まっていて、8月末までが登山シーズンだったものです。それが、世界遺産に登録されたあたりから時期が流動的になり、毎年の最新情報はホームページなどで要チェックです。
富士山の山開きは、山梨県側では7月1日で、9月10日までが標準的な登山シーズンです。7月初めはまだ梅雨空ですが、神事を執り行う関係で時期をむやみに動かせない事情があります。
富士山の山開きは、富士宮口・御殿場口・須走口の静岡県側では、7月10日が標準で、登山シーズンは9月10日までが目安です。ただ、ベストシーズンとしては、梅雨明けの7月下旬からが、天候や歩きやすさからもおすすめです。
富士山の登山ルートは全部で4種類
富士山は快適に登山できるよう、吉田・富士宮・須走・御殿場の4ルートが設定されています。いずれも五合目までは車やバスでアクセスできますが、あとは山頂まで決まったコースをひたすら歩むことになります。
富士山は、山頂周辺を周回する「お鉢めぐり」は、登山上級者にも人気のルートです。雄大な景色を堪能しながら、火口付近をめぐるだけで霊験あらたかな気分に浸れそうです。
近年は、富士山の「プリンスルート」が静かなブームとなっています。皇太子殿下が2008年に登山されてから有名になったコースで、富士宮ルート〜宝永遊歩道〜御殿場ルートをめぐって大自然が堪能できると、中級以上の登山客の間で人気急上昇中なのです。
富士山登山に欠かせない山小屋
富士山を登ったことがある人は、山小屋のありがた味を実感していることでしょう。山小屋の設備はつつましいものですが、環境を考えると仮眠や夕食・朝食がとれるだけでも十分でしょう。
富士山では、山小屋はすべて五合目よりも標高が高い場所にあります。水は大変な貴重品で、シャワーはもちろんトイレ後の手洗い、歯磨きなどまず無理とみるのが適当で、ペットボトルの水でも信じられない高価で、数も少ないのです。
富士山の山小屋はシーズン中、とくに週末の利用には、予約するのがおすすめで、ネット予約を受け付けている山小屋もあります。支払いは現金のみで、クレジットカードはまったく使えないとみなすのが賢明です。
富士山観光は登山だけではない
日本最高峰・富士山観光のハイライトとして、ご来光は登山客限定で拝めるレア度満点の絶景です。条件が合えば、ダイヤモンド富士や赤富士も、霊峰にふさわしい絶景が観光客のハートをわしづかみにします。
富士山周辺エリアでも、富士五湖や忍野八海などは、山中湖湖畔でリゾートを楽しむなど、超定番の観光スポットとなっています。富士山五合目までは車で行けるので、日帰り観光ドライブコースとしても大人気です。
富士山周辺では、富士急ハイランドや富士サファリパークなどの観光スポットも人気があります。少し離れた場所では、御殿場プレミアムアウトレットは首都圏から日帰り可能で、連日ツアー客でにぎわっています。
富士山の五合目について
富士山の五合目は、現在、吉田口、富士宮口、須走口、御殿場口の4ヶ所が、正式な五合目に指定されています。
五合目以降は人力登山しか道はありませんが、五合目まではバスや車でアクセスできます。
富士山の五合目といえば、吉田口は江戸の時代からの歴史があり、登山客だけでなく観光客などでも最もにぎわいます。山梨県側から、富士スバルラインの終点にあるのでツアーで訪れる人も多く、登山シーズン中は東京・新宿からも高速バスで直行できます。
富士山の五合目では、富士宮口は名古屋や関西方面からの登山客に人気です。須走口・御殿場口は登りはきついので上級者向けですが、下りは名物「砂走り」で一気に豪快に下山できるのがだいご味です。
富士山の登山ツアーやトレッキングツアー
富士山に登るにあたり、初心者はとくにバスツアーを利用するのがおすすめです。熟練したガイドが同乗するほか、参加者同士の仲間意識も、きつい登山には大いに励みになるものです。
富士山はバスツアーが人気で、はとバスも登山ツアーを実施しています。1泊2日コースが超定番で、五合目まではバスで行きますが、そこから山頂までは自力で登ります。山頂から拝むご来光で、それまでの疲れも吹っ飛び、テンション最高潮となることでしょう。
富士山は、日帰りバスツアーもお手軽さからか人気があり、五合目付近をトレッキングするのが定番です。宝永トレッキングは、富士山の「でっぱり」を散策するコースで、お鉢めぐりの気分に浸れます。
富士山周辺のライブカメラは以外とたくさんある
富士山の周辺エリアでは、ライブカメラが各地に設置されていて、インターネットで見ることができます。ライブカメラ映像は、登山の前に天気をチェックするのに打ってつけで、純粋に観賞用としても人気があります。
富士山のライブカメラは、富士五湖TVなど、超定番の光景は根強い人気があります。1000円札にある逆さ富士が、どのアングルから描かれたか確かめてみるのも一興です。
さらにライブカメラといえば、山中湖畔に設置された「絶景くん」は人気があり、広角・望遠で世界に誇る霊峰のさまざまな表情が楽しめます。須走IC付近にあるライブカメラ映像は、富士山をほぼ東側から眺める格好になり、少々珍しい光景が拝めます。
富士山の噴火について
富士山は、記録に残っているだけで、781年から10回の噴火が確認されています。とくに、864年の貞観噴火、1707年の宝永噴火が超ド級であったことは、現在も残る痕跡から確認できます。
今かりに、富士山が噴火したらどのくらいの規模になるか、まったくの未知数です。溶岩流や火砕流が発生し、大量の火山灰が首都圏を直撃することも考えられ、首都機能がマヒするのはほぼ確実です。
今のところ安全性だとされているので、富士山が突然噴火するとは考えにくいのですが、万が一登山中に災害が発生したら、安全な場所に逃げるのが先決です。心配な人は、気象庁のホームページで、火山情報をチェックするとよいでしょう。