姫路城・日本初の世界遺産へのアクセスや入場料と観光の見どころやイベント

姫路城とは

姫路城は兵庫県姫路市にある日本の城郭。赤松貞範氏が築城主になります。
いつもまばゆいばかりの白壁が見る者の心をとらえ、白鷺城とも呼ばれています。
その別名通り、美しい白漆喰の城壁と優美なシルエットが魅力で、国宝ともなっています。
また、

・その美的完成度が我が国の木造建築の最高の位置にあり、世界的にも他に類のない優れたものであること。
・17世紀初頭の城郭建築の最盛期に、天守群を中心に、櫓、門、土塀等の建造物や石垣、堀などの土木建築物が良好に保存され、防御に工夫した日本独自の城郭の構造を最もよく示した城であること。

が評価され、日本初の世界文化遺産にも登録されています。多くの日本の城が焼け落ち、近代になってから再建されているのに比べ、この姫路城は、江戸時代初期に建てられた天守閣などが当時のままに現存しており、歴史的価値もとても高く評価されています。

白い漆喰が美しい姫路城天守閣


姫路城の世界遺産登録日はいつ?

姫路城・世界遺産の石碑

姫路城の世界遺産登録日は、1993年12月11日です。奈良の法隆寺とともに世界遺産に登録されています。
当時の新聞などで大々的に報じられたのですが、同じ時期に動きのあった彦根城や松江城は残念な結果になりましたが、日本初の世界文化遺産として登録が叶ったのは朗報として受け止められました。
姫路城は世界遺産に登録されてからも、2009〜2015年の「平成の修復」を経て、いつも観光客でにぎわっています。大混雑時には整理券制に切り替わり、大天守への入城制限が実施されるほどです。

姫路城渡櫓

姫路城が世界遺産に登録された理由

姫路城は、世界遺産登録日より以前から、国宝五城のひとつとして歴史的価値を認められています。
戦国期に建てられた城は、戦時中の2度の空襲に耐え、築城時の姿をとどめていることも、世界遺産登録への評価ポイントです。
姫路城がどうして世界遺産に登録されたかの理由についてですが、まず、ユネスコは世界遺産の登録基準として以下を掲げています。

世界遺産リストに登録されるためには、「世界遺産条約履行のための作業指針」で示されている下記の登録基準のいずれか1つ以上に合致するとともに、真実性(オーセンティシティ)や完全性(インテグリティ)の条件を満たし、締約国の国内法によって、適切な保護管理体制がとられていることが必要です。

世界遺産の登録基準
(i) 人間の創造的才能を表す傑作である。
(ii) 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
(iii) 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
(iv) 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
(v) あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの
(vi) 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
(vii) 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(viii) 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
(ix) 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
(x) 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。

姫路城の場合、1992年9月と1993年4月、そして登録後の1993年8月に国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が行った調査により、以下の点が評価されています。

●木造建築物として建物の容積と配置が絶妙にバランスが取られ、漆喰の城壁を持つ優れた美をもっていること。
●明治以前の封建制度の象徴であること。
●日本の木造建造物として最高のものであること。
●登録地域は、中曲輪より内側となっている。さらにその周囲がバッファゾーンとしての指定を受けている。

これによって、姫路城は以下の基準を満たしたとみなされました。

(i) 人間の創造的才能を表す傑作である。
(iv) 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

ここに至るには、世界遺産登録に関して熱心に活動された人々の努力が必要でした。課題のひとつは、「石」を主要な素材とするヨーロッパの文化や遺跡を前提とした認識が主流だった当時の基準に対して、定期的なメンテナンスや解体修理を必要とする「木」を素材とした文化財をいかに認めてもらうことかということでした。
つまり、木造建造物が世界遺産に認定されるためには「石の文化」の人たちに「木の文化」を理解してもらう必要があったのです。

姫路城東大柱
姫路城東大柱


姫路城観光

姫路城の公開時間は:00~17:00で、入城は16:00までとなっています。なお、4月27日~8月31 日は1時間延長しています。休館日は12月29日~12月30日。
近隣に観光スポットも多く、姫路市立動物園や市立美術館も人気です。また、姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」は池泉回遊式の日本庭園で、姫路城とセットの入場券が販売されていることもあります。ランチを美味しくいただけるレストランもあり、穴子料理が旨いと評判です。

好古園の紅葉

姫路城観光のモデルコース

姫路城の門

姫路城は下から見上げると威圧感がありますが、モデルコースに沿っていけば無理なく観光できます。

姫路城菱の門

菱の門から入りモデルコースの通り、西の丸庭園、西の丸長局(百間廊下)、将軍坂、油壁を経て、札の門をくぐり、大天守へいたります。

姫路城はの門に向かう上り坂
姫路城矢倉

また、姫路城の天守内の観覧もモデルコースが決まっていて、観光客はその順路に沿って進みます。イ・ロ・ハの渡櫓、乾小天守、東小天守を経て、大天守は地上6階・地下1階で最上階からは殿様気分で城下を見渡すことができます。

天守閣からの眺望

天守内の西小天守、台所は、非公開です。

姫路城の観光で、大天守を見終わってからも、見ておきたいコースはまだ続きがあります。お菊井戸、鏡石、三国堀などが見どころにあげられます。

姫路城観光の所要時間

姫路城を観光するにあたり、所要時間の目安でもわかれば、観光プランが立てやすくなります。
どのコースで回るかによっても違うので一概には言えないのですが、概ね、所要時間は1時間半〜2時間が目安といえます。
ただ、城内はアップダウンが激しいので、体力の消耗や年齢、体力なども計算に入れる必要があります。

場内の構造は古いままなので階段は狭く急勾配です
姫路城内の木製階段

どのコースで回るにしても大天守が観光のハイライトで、天守内を観光するだけでも、所要時間は1時間はかかるとみるのが適当です。大天守の6階は標高92mあって、景色がとてもよいので、城下を眺めて長居をしてしまう観光客続出といいます。
姫路城は通常、9〜17時の間だけ観光客は入城することができますが、見学にかかる所要時間を考えると、時間には余裕をもって遅くとも15時ごろまでには入城するのがおすすめです。



姫路城の観光マップ

姫路城は、観光マップをながめるだけで、巨大なお城であることがわかります。城内の主要な見どころを押さえるだけでも、所要時間は2時間以上かかってしまうかもしれません。

場内に掲示された案内地図

姫路城のシンボル・大天守は、地下1階・地上6階の、戦国期の基準からいえば超巨大建造物です。複雑そうでも見学順路は決まっているので安心ですが、観光マップを携帯して要所要所で場所をチェックすれば鬼に金棒です。
また、姫路城の観光マップは、JR姫路駅構内の「姫路市観光案内所」でも無料配布しています。同時に、無料のレンタサイクルの受付所でもあり、申し込んで番号札を持参し、指定の場所でレンタサイクルを受け取る仕組みです。

アクセス

姫路城の住所は〒670-0012 兵庫県姫路市本町68になります。
アクセスは、JR姫路駅の姫路駅北口から神姫バスに乗って「大手門前」という停留所で下車、徒歩約5分です。バスを使わなくても、JR姫路駅、山陽姫路駅からぶらぶら歩いて20分程度なので、駅を降りてすぐに見える姫路城を眺めなら歩いて行くのも手です。

姫路駅前から姫路城を望む

駐車場

駐車場は城の周囲に「大手前公園駐車場」「姫山駐車場」など6箇所が用意され、混雑日には臨時の駐車場が設けられることもあります。

姫路城周辺の駐車場マップ

入場料

入場料は、大人(18歳以上)1000円、小学生・中学生・高校生が300円で、小学校就学前の子供は無料です。人気の観光地なので混雑することも多いのですが、混雑状況は、公式サイトの「姫路城大入り実況」というページで入場口までの待ち時間などが実況されています。

入城料大人(18才~)1000円
小人(小学生・中学生・高校生)300円
30人~大人800円
小人240円

 

姫路城・好古園
共通券
大人(18才~)1040円
小人(小学生・中学生・高校生)360円

姫路城の見どころ

姫路城へ入ると、すぐ「菱の門」をくぐることになります。菱の門自体が見どころのひとつで、安土桃山様式の門は豪華な造りで圧倒されそうです。
姫路城では『播州皿屋敷』で超有名な「お菊井戸」も見どころのひとつで、霊感のある人はお菊さんの「1枚ー・2枚ー」の声が聞けるかもしれません。「将軍坂」は、射撃のために開けられた「狭間」という穴が見どころで、『暴れん坊将軍』のロケ地となったことでも有名です。
姫路城の「西の丸長局(百間廊下)」、地上6階・地下1階の「大天守」も見どころにあげられます。優美な概観とは打って変わり、城内部は武具掛けが並ぶ物々しい印象ですが、最上階は四方から姫路市街を望むことができます。

姫路城の混雑状況

姫路城は、混雑時には整理券制が実施されます。
整理券は「大天守登閣整理券」といい、先着15000人に限定、予約はできないので、大混雑する日は少々ハードルが高くなるかもしれません。
姫路城の混雑時に発行される整理券は例年、8月13〜16日、9月19〜23日、10月10〜12日、11月21〜23日、1月1日、3月26〜31日が主な該当期間となります。
ただし、該当期間は変更されることがあるので、行く前は必ずホームページなどでチェックするとよいでしょう。
ホームページでは「本日の来場状況」のページで「入城口までの待ち時間」「入城口から天守閣入り口までの待ち時間」がほぼリアルタイムで更新され、ライブカメラで場内の様子の動画チェックもできます。また、「年間混雑予想カレンダー」も公表されています=リンク
▼姫路城の平日の混雑状況を録画した動画▼

姫路城の整理券は、混雑時は入城口の手前で当日分が配布されます。該当日は、整理券がなければ大天守に立ち入ることはできません。ただ、整理券の対象となるのは大天守だけで、西の丸、二の丸などのエリアは整理券なしでもOKです。

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姫路城周辺のランチ

姫路城の周辺では、主にJR姫路駅にかけての一帯に、ランチを手軽にとれる飲食店がそこかしこにあります。おみぞ筋、みゆき通り、二階町などの商店街は活気があり、魚町・塩町地区にも、飲食店が集中しています。
姫路城は海が近い地理的条件から、海鮮丼や寿司は人気のランチメニューにあげられます。姫路は、姫路おでん、えきそば、ぐじゃ焼、アーモンドトーストなどが、ご当地グルメで、ランチにも打ってつけです。
姫路城の周辺は、新鮮な野菜、肉、魚が豊富な土地柄で、フレンチレストランが多く、ランチメニューも提供しています。たとえば、SORANIWAはお城ビューの眺望が自慢で、世界遺産を眺めながらフレンチがいただけると人気です。

姫路城のお土産

姫路城は、入城口の目の前に「家老屋敷館」があり、土産物店や飲食店が約15軒入居し、公式ショップのような趣をなしています。お土産にぴったりな地酒や工芸品が、浅草の仲見世のように、1ヶ所でいろいろ選んで購入できると、とくに時間に余裕のない観光客に好評のようです。
姫路城を見学したら、地元銘菓をお土産にするのが超定番です。求肥が入った最中「五拾萬石」、まんじゅうは種類が多く「光姫」や「官兵衛」あたりが人気です。
姫路城つながりで、大天守をかたどった「名城一の丸最中」、巨大どら焼きの「大手門みかさ」も、お土産にぴったりです。趣向を変えて、ガレットの「御国小判」は洒落たお土産として喜ばれそうです。

姫路城のイベント

姫路城はお城自体が感動的ですが、イベント開催期間はテンション最高潮になること必定です。恒例イベントはだいたい開催時期が決まっていますが、ホームページなどで正確なスケジュールを確認しておくと安心です。
姫路城は、好古園がらみのイベントが多く、和の情緒たっぷりでお城の雰囲気にマッチしています。4月の「観桜会」「夜桜会」、秋の「菊花展」など見て楽しむ系や、マラソン大会などアクティブ系も人気があります。

桜と姫路城
紅葉の姫路城

姫路城の例年11月開催の「ファンタジーイルミネーション」は、普段のライトアップにもまして感動的です。約10万個のフルカラーLED照明によるイルミネーションは大迫力で、感動を刻む一夜となるでしょう。

姫路城のライトアップ

姫路城は長かった「平成の大修理」がやっと終わり、ライトアップで評判の白さがますます冴えわたっています。全部で約280灯も使われ、年2回の交換で色の変化を楽しむことができます。

ライトアップされた姫路城

姫路城のライトアップは毎日行われ、点灯時間は基本的に日没〜0時となっています。例年、4〜10月は白色系、11〜3月は暖色系と使い分けていて、季節に合わせたライトアップで、違いを比較するのも一興です。
姫路城は、イベントで特別にライトアップされることもあります。4月の夜桜会、秋の好古園での紅葉会など、日本の美を前面に押し出したようなイベントの数々で、海外からの観光客にも人気が高まっています。

姫路城のマラソン

姫路城マラソンは、例年2月に実施されます。参加申し込みが定員を超えると抽選になりますが、倍率はここ数年3倍前後で推移し、ツアーが組まれるほど人気の大会なのです。
姫路城のフルマラソンはお城の前がスタート・ゴール地点で、塩田温泉郷で折り返すコースです。コース前半は比較的おだやかですが、35km地点あたりからアップダウンが多くなり、最後の2kmがとくにきついと評判の、なかなかの高難易度コースです。
フルマラソンはハードルが高いという向きには、姫路城ファンランコースがおすすめです。コースは、1km・1.5km・2km・5kmとあって、マラソンを通じて世界文化遺産の雰囲気を体感してみたい人におあつらえ向きです。