平泉の世界遺産構成建造物やアクセスと観光モデルコース

平泉の歴史

平泉は11世紀、前九年の役・後三年の役をへて、奥州藤原氏の下で約100年間、栄えた歴史があります。
平泉が、奥州藤原氏の拠点として栄華を極めたことは、歴史の教科書にもある通りですが、名馬の産地で、砂金が豊富に産出されたことで経済的に潤い、藤原清衡・基衡・秀衡・泰衡の4代にわたって繁栄を極めたのです。平安末期ごろは京の都の向こうを張り、半独立国のような繁栄ぶりだったといいます。
平泉の繁栄に影がさすのは、源義経ら一行が入ってきてからのこと。さまざまな政治的判断があったと考えられますが、源頼朝の圧力に屈して、義経らを襲いました。「弁慶の立ち往生」のエピソードは有名な「伝説」です。
その後、結局、鎌倉方に滅ぼされ歴史に幕を下ろしたのです。現在は、世界遺産の構成資産で当時の様子をしのぶことができます。

世界遺産・平泉

平泉が世界遺産に登録されたのは2011年のことで、東日本大震災の直後の明るいニュースとして話題になったものです。
平安末期、奥州藤原氏の栄華がしのばれる黄金文化が評価ポイントとなったことは間違いありません。
平泉の世界遺産は、中尊寺・毛越寺・観自在王院跡・無量光院跡・金鶏山で構成されています。平安末期のトレンドであった浄土思想を地上に現すことを目指し、豊富にとれる砂金を背景に、京の都以上の絢爛豪華さだったといいます。
平泉では現在、観光客には重宝する巡回バス「るんるん」で、世界遺産を効率よくめぐることができます。または、レンタサイクル「りんりん」で、マイペースでめぐるのも人気があります。

平泉中尊寺

奥州藤原氏の繁栄ぶりを象徴し、世界遺産の中心的存在である平泉中尊寺は、比叡山延暦寺の慈覚大師円仁が、850年に創建したと伝えられています。

▲中尊寺本堂▲

約20年の年月をかけて堂塔伽藍がいくつも建立されたのですが、現在は金色堂だけが残りガラス越しに見学できます。
平泉中尊寺へ入ると、いきなり月見坂で上り坂となり、浄土世界へと誘われます。

▲月見坂▲

金色堂や讃衡蔵が人気ですが、経蔵・旧覆堂能舞台などの国宝も歴史の重みを感じさせ、じっくり観賞する価値があります。

▲能舞台▲

平泉中尊寺では、各お堂に入るには拝観券が必要ですが、拝観券は讃衡蔵でまとめて購入できます。讃衡蔵には国宝が多数集められ平安美術の宝庫と言われているくらいで、文化財から往時の栄華をしのぶことができます。

平泉・中尊寺・金色堂

平泉のシンボルといえる中尊寺金色堂は1124年、藤原清衡の時代に創建されたと伝えられています。
金色堂は中尊寺内でゆいいつ、創建時からある建物で、世界遺産のハイライトとして人気があります。本堂を通り越し、さらに歩くと入り口が見えます。

▲金色堂入り口▲
▲金色堂(国宝)▲

平泉の中尊寺金色堂は現在、皆金色の阿弥陀堂をガラス越しに見物することができます。中央壇は幅233cm・奥行き166cmのサイズで、阿弥陀如来坐像はじめ仏像の数々が、所狭しと並べられ、浄土世界を表しているのです。

金色堂内部

平泉の中尊寺金色堂は、1962年に「昭和の大修理」が実施されています。金色堂は修復の際、内外壁などで金箔張りが実施され約3万枚もの金箔が使用されたとあり、奥州藤原氏の財力の大きさを、改めて見せつけられたエピソードとして記憶されています。

中尊寺の拝観料金と時間

金色堂・讃衡蔵・経蔵・旧覆堂【通常拝観料金】

区分個人30名以上
(1割引)
100名以上
(2割引)
大人800円720円640円
高校生500円450円400円
中学生300円270円240円
小学生200円180円160円

団体割引:30人以上1割引、100人以上2割引 障害者手帳の提示にて料金が半額

拝観期間は年中無休で拝観時間は、3月1日から11月3日まで、8:30~17:00、そして11月4日から2月末日まで、8:30~16:30となっています。

平泉観光のモデルコース

JR平泉駅は、世界遺産をめぐる観光拠点で、駅からまず毛越寺へ直行が定番のモデルコースです。浄土庭園など見どころは多く、世界が認めた美景に浸れます。

▲毛越寺(世界遺産)▲

平泉の毛越寺の次は、観自在王院跡もモデルコースに入り、池を復元した史跡公園となっています。

▲毛越寺庭園▲
▲毛越寺庭園▲

観光に余裕があれば、金鶏山へ立ち寄り、約15分のミニ登山で山頂の経塚を見学するのもおすすめです。
続いて、観光モデルコースは、平泉のハイライト・中尊寺へいたります。中尊寺は金色堂はじめ見どころが多く、エリア内で一番人気の観光スポットです。モデルコースのしめは、無量光院跡、現在は礎石が残るだけですが、京都・宇治の平等院鳳凰堂を模したという壮大さに圧倒させられます。

平泉へのアクセス

平泉へのアクセスには、東京方面からだとまず、JR東京駅から東北新幹線で、一ノ関駅まで2時間10〜3時間かけて向かうのが標準的です。JR一ノ関駅からは在来線の東方本線で、JR平泉駅まで約8分で着きます。

▲平泉駅▲

平泉へは、盛岡方面からだとJR東北本線の電車に乗って、約1時間20分でアクセスできます。JR一ノ関駅からは、岩手県交通バスで、平泉駅を経由して中尊寺まで20分超でアクセスするルートもあります。
平泉へ車でアクセスするには、東北自動車道を経由すれば、平泉前沢ICで降りるとよいでしょう。世界遺産のエリア内では、巡回バス「るんるん」で回ることができます。中尊寺や毛越寺などの構成資産を、約20分で1周、昼間は15〜30分間隔で運行されています。

平泉の宿泊

平泉エリアで、宿泊施設をインターネットで検索すると「平泉ホテル武蔵坊」がたいてい上位にヒットします。駅から徒歩15分の好立地はまさに観光客向けであり、地域では代表的な温泉宿です。
平泉エリアでは、山あいの閑静な宿に宿泊するのも一興です。たとえば、「しづか亭」は前沢牛や打ち立てそばが好評を博していて、厳美渓のほとりにたたずむ「いつくし園」は閑静な一軒宿で、世界遺産の観光にも便利な場所にあります。
平泉の周辺では、東北新幹線が停車する一ノ関エリアに宿泊するのも賢い旅行スタイルといえます。たとえば、ホテルサンルート一関は駅から徒歩1分の駅近、蔵ホテル一ノ関は駅から徒歩3分で、大浴場が宿泊客に好評を博しています。

平泉のイベント

平泉のイベントで一番人気は、5月1〜5日の「春の藤原まつり」です。ハイライトは「源義経公東下り行列」で、義経らに扮した一行が古式ゆかしく毛越寺〜中尊寺を練り歩きます。
平泉を代表する中尊寺でも、数々のイベントが観光客を楽しませてくれます。8月14日の薪能、8月16日の大文字送り火、10月20日〜11月15日は菊まつりと続きます。
平泉で人気を二分する毛越寺でも、イベントは数多く開催されます。5月第4日曜に開催される「曲水の宴」では平安貴族の雅な姿が再現され、6月〜7月上旬のあやめ祭り、9月中旬〜下旬の萩まつりと続きます。11月1〜3日は、「秋の藤原まつり」が開催され、公恩思法要が営われ、郷土芸能も見どころとなっています。