小湊鉄道の路線を巡る旅はトロッコ列車だけではなく見どころが満載!

小湊鉄道線とは

小湊鉄道線とは、JR内房線の五井駅から、いすみ鉄道の上総中野駅までも結ぶ鉄道路線です。
全長が39.1キロで、全線が単線のローカル線ですが、最近ではトロッコ列車や菜の花に囲まれた観光鉄道としても人気です。
また、文化庁やデザイン振興会からもその存在を高く評価されているのも注目すべき点です。

国の登録有形文化財に登録

小湊鐵道の22の施設は、なんと国の登録有形文化財に登録されています。
有形文化財として登録された駅舎と構造物は以下になります。

五井機関区機関庫および鍛冶小屋
上総村上駅本屋 1927年(昭和2年)2月25日 開業
海士有木駅本屋 1925年(大正14年)3月7日 – 開業
上総山田駅本屋
第一柴の下橋梁
第二柴の下橋梁
第一養老川橋梁
馬立駅本屋
第二養老川橋梁
上総牛久駅本屋
上総鶴舞駅本屋
旧鶴舞発電所
上総鶴舞駅貨物上屋
高滝駅本屋 1925年(大正14年)3月7日 -開業
里見駅本屋 1925年(大正14年)3月7日 -開業
月崎第一隧道
月崎駅本屋およびプラットホーム 1926年(大正15年)9月1日 -開業
月崎駅本屋旧下り線プラットホーム 1926年(大正15年)9月1日 -開業
大久保隧道
第四養老川橋梁
養老渓谷駅本屋
板谷隧道

「本屋」とはブックストアの本屋さんではなく、駅舎の意味です。

2017年度のグッドデザイン賞を受賞

鉄道会社がグッドデザイン賞というのもあまり聞きません。それも、「どの列車のデザインが」というわけでもなく、いってみればビジネスのスタイルがグッドデザインと認定されたのです。

小湊鐵道株式會社が、このたび2017 年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。沿線の里山環境との融和を図る駅や鐵道そのもののあり方や、そこに暮らす多くの方々との協働による逆開発・里おこし活動が高く評価されました。

こういう評価を知ると、ひと駅ひと駅、味わいながら回ってみたくなりますね。
駅は全部で18個。駅間の距離はわずか1400メートルというところもあり、小刻みに駅が配されています。
それぞれの駅名と駅間の距離を表組みにしました。

駅名距離
五井駅
上総村上駅2.5
海士有木駅2.9
上総三又駅1.8
上総山田駅1.4
光風台駅2
馬立駅1.8
上総牛久駅4
上総川間駅2.1
上総鶴舞駅1.5
上総久保駅2
高滝駅1.8
里見駅1.9
飯給駅1.8
月崎駅2.3
上総大久保駅2.5
養老渓谷駅2.6
上総中野駅4.2

 

小湊鉄道線の路線図

このマップの五井駅から上総中野駅までの緑色の路線が小湊鉄道線の路線図になります。



小湊鉄道線を巡る

まだ都会が香る五井駅

五井駅を出発する小湊鉄道のディーゼル列車

小湊鉄道の五井駅は、JR五井駅との接続地点であり、小湊鐡道の本社所在地でもあります。
五井駅は、千葉駅からなら乗車時間15分強で来られる内房線の駅ですから、まだまだ都会っぽい景色があります。
ここから房総半島の中央部の山地に向かって走るのが小湊鉄道ですが、五井駅からしばらくの間は平地で、周囲もいろいろな建物やショップなどがパラパラとあって、わりと普通のローカルな景色が続きます。
観光列車っぽい景色になるのは、やはりトロッコ列車が運行する上総牛久駅あたりからでしょうか。

小湊鉄道のトロッコ列車

小湊鉄道は、トロッコ列車運行が人気のイベントとなっています。
昔ながらの蒸気機関車のようなビジュアルや、レールバイクのような爽快感が観光客に人気ですが、運行期間が限定的なので、正しい運行スケジュールは公式サイトなどで要チェックです。
トロッコ列車の先頭車両はSLをモチーフにしたクリーンディーゼル車を使っていおり、煙の出ないSLに乗っているようなワクワク感があります。
デザイン性も高く評価され、いわゆる「インスタ映え」という点では文句のつけようがありません。
トロッコ列車が走る区間は、これまで何回か変更が繰り返されていましたが、現在は、上総牛久駅〜養老渓谷駅の区間にて「里山トロッコ」として運行されています。

トロッコ列車のSL
菜の花畑に包まれて走るトロッコ列車

小湊鉄道のトロッコ列車は、車両は窓なしで天井はガラス張りとなっています。車窓に広がる自然と一体となったような開放感が観光客に受け、運行時期のたびに乗るファンも少なくないといいます。
なお、トロッコ列車に乗るには、通常の乗車券のほかに「トロッコ整理券」(500円、大人/小人同額)も購入しなければいけません。また、車両は普通車(屋根と窓がある)と、展望車(窓や天井がない)の二種類があって、どちらかの車両が選べます。
詳細や問い合わせは里山トロッコ専用ダイヤルまで=0436-23-5584

トロッコ列車の展望車の車内

トロッコ列車のスタート駅・上総牛久駅

小湊鉄道・上総牛久駅(登録有形文化財)

人気のトロッコ列車はここから運行をスタートしています。



聖地巡礼の人も来る上総鶴舞駅

上総鶴舞駅は、よく映画やCMなどの撮影で使われる人気スポットです。
あの「嵐」の「青空の下、キミのとなり」のプロモーションビデオの撮影ロケ地でもあり、「聖地巡礼」的な観光客も少なくありません。
また、この駅に登録有形文化財がいくつもあり、上総鶴舞駅の駅舎だけでなく、隣接する貨物小屋や発電所跡なども文化財として指定されています。

登録文化財である上総鶴舞駅舎内
上総鶴舞駅のホームから上総牛久方面を臨む

このプラットホームに嵐のメンバーが立っていましたね。

花の向こうに見えるのが登録文化財の貨物小屋

 

キッチンカーと発電所跡。

週末にはキッチンカーが登場(不定期)。コーヒーが美味しかったです。奥に見えるのが登録文化財の発電所跡です。この発電所につながる廃線の線路も、嵐の撮影で使われていました。櫻井翔さんがレンガ色のジャケットを着て立つ姿を覚えている方もいることでしょう。

「世界一の公衆トイレ」がある飯給駅

飯給駅を畑側から見たところ
飯給駅のホーム
飯給駅舎からの景色

飯給(いたぶ)駅は、特に文化財登録はされていませんが、ここには「世界一」の施設があることで有名です。
なにが世界一かというと、その巨大さで世界一の公衆トイレです。

世界一大きいトイレ

これがその写真ですが、あのガラス張りの部分だけではありません。その奥に塀がみえますが、その塀で囲まれた面積すべてがトイレなのです。
あいにく女性専用なので、男性は中に入ることができません。トイレの入り口から見るのがこんなアングルになります。
建築家の藤本壮介氏の作品ということですが、この広大なトイレで落ち着くのか?それとも開放感に満たされるのか?
この飯給駅にはもうひとつ名物があって、それが案山子(カカシ)です。線路沿いに何体ものカカシが並んでおり、列車の車窓からは、まるで見送られているような感じになります。

飯給駅のカカシ

不思議な建物「森ラジオ」がある月崎駅

月崎駅もまた、登録文化財です。それも、駅舎だけでなくホームも登録されています。

小湊鉄道・月崎駅舎

また、月崎駅のすぐとなりにあるのが「森らじお」という不思議な建物です。

森ラジオ
森ラジオ全景
森ラジオの奥には、廃線になって線路が撤去された枕木が並んでいます。

小湊鉄道・養老渓谷駅

トロッコ列車の終点が養老渓谷駅です。有名な名勝や温泉の入り口となる駅です。
この駅舎もまた文化財に登録されています。

養老渓谷駅

いすみ鉄道に乗り換える上総中野駅

上総中野駅

上総中野駅は、小湊鉄道の終点であり、いすみ鉄道の始発駅でもあります。
ここから先、九十九里方面に行くには、ここで乗り換えます。
この界隈の駅としてはとても立派で(それでも無人駅)、トイレも立派な施設があります。
ハイキングなどの起点にもなっています。

線路の終端には、行き止まりであるバッテン印が。

いすみ鉄道・ムーミン列車で楽しめる菜の花や桜の見頃と観光スポット、路線や時刻表について



小湊鉄道のバス

小湊鉄道は、鉄道部門は五井駅-上総中野駅がすべてとなっていますが、バスの路線網ももっています。路線バスは千葉市内や内房・外房エリアが中心で、路線図や運賃は公式サイトで確認することができます。
小湊鉄道には、高速バスのラインナップもあります。千葉県内限定というわけではなく、東京や横浜などから成田空港へのアクセス便としても存在感があります。

※引用:http://www.tokyometro.jp
※引用:http://www.kominato-bus.com/
小湊鉄道は、三井アウトレットパーク木更津への直行バスを運行している会社としても有名です。東京や神奈川方面から人気のアウトレットに直行できるほか、成田空港からの直行便もあり、アジアを中心に外国人観光客の利用も多い路線でもあります。


※引用:http://www.kominato-bus.com/